JAPAN CYCLING CHRONICLE

Cycling Photos in Japan

ヘリの事故

 ヘリの事故が続きました。私が以前食品メーカーに居た頃 冬はスキー場 夏は山小屋関係に納品していました。山小屋の方達からかわいがっていただき 北アルプスでのシェアは相当高かったのです。そんな訳で 4月の半ば過ぎからはこの東邦航空の方達と一緒に動いていました。
 いつも稜線の雲の動きを見 風を感じ気象の動きに常に注意をして生活していました。天候が悪いと山の中のヘリポートで朝の4時から日が沈むまで三日も四日も待っていた事もありました。朝からいろんな話をしていましたが つきる事がなかったような気がします。
 そんなとき遭難対策無線がなるとヘリのメンバーはレスキューに向かいました。ヘリコプターの救助というのはこの東邦航空が初めて始めた事で その牽引者は篠原秋彦でした。

 彼が遭難救助中に亡くなってからもう5年が経ちました。県警から救助の依頼が来る時は県警のヘリコプターが危険で行けないもしくは行きたくない時でした。そんな時でも果敢に彼らはレスキューに向かいました。そんなレスキューの最前線に居たのが 今回怪我をされたパイロットの方と墜落したラマJA9826でした。穂高岳山荘の屋根の上に 無惨な姿をして写っているのを見ると 切ない思い出が蘇ってきました。パイロットの方は温厚で慎重で堅実な方です。危険な場面でも冷静沈着に操縦して2000回に及ぶレスキューもこなしてきた方です。ラマは横風に強いという事から すでに製造されていないにもかかわらずいまだに山の仕事をしていました。このコンビをしても事故が起きてしまうのです。もう キーンという金属音のするラマの音で空を見上げる事はないのでしょうか。
 山の思いでは切ない事ばかりが思い出されてしまいます。鳥見をしながら山道を歩くとき 昔の事を思い出しながら歩いてしまう事もあります。そんなとき梢の向こうに見える山並みが何もなかったかのようにたたずんでいるのが救いでしょうか。